2022年02月21日

スピルバーグ監督の最新ミュージカル映画、ウエストサイドストーリーを鑑賞しました。オリジナルはシェークスピアのロミオとジュリエットを下敷きに、1957年にブロードウエーのミュージカルとして公開され、その後映画化されて全世界で大ヒットしました。ナタリーウッド演じる可憐なマリアの姿と、素晴らしいダンスミュージックの数々を覚えています。（最近　NHKのBSでオリジナル版が再放送されたのをご覧になった方もいるのではないでしょうか）

舞台は、留学時代の3年を過ごした懐かしいNYです。NY市のあるマンハッタン島は、ブランド店の立ち並ぶ5番街やセントラクパークを境に東西に分かれます。大学病院のあるイーストサイドに比べると、ハーレムや下町の古いアパートメントが立ち並ぶウエストサイドは治安も悪く、あまり近づかないようにしていました。そんなNYの下町を舞台した物語は、二つの不良グループが繰り広げる抗争とその中で生まれる禁じられた愛を主題にしています。スピルバーグ監督は、原作の雰囲気（逞しく生きる庶民のエネルギーやミュージカル映画特有のファンタジー感）を大事にしつつも、そこに移民問題や人種差別、そして原作になかったLGBTの問題まで描き出しています。一方でクライスター博物館の美しいステンドグラスに差し込む光の表現は、ヨーロッパの古い映画を見ているような格調さえ感じます。コロナ禍で苦境にあるミュージシャンやダンサーなどにも職を提供し、多くの人が救われたこともテロップでわかりました。CGやバーチャルを多用した最近の映画とは一線を画す素晴らしい作品だと思います。こうした大作映画は、やはり映画館のスクリーンで観るのが一番です。

第34回アカデミー賞で全10部門で受賞した『ウエスト・サイド物語』（1961）（C）United Artists / Photofest / Zeta Image

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