院長コラム

大和心をひと問わば

2021年03月29日

今年も桜の季節がやってきました。「しき嶋のやまとごゝろを人とはゞ朝日にゝほふ山ざくら花」古事記伝の本居宣長が私と同じ年に詠んだ句です。コロナ禍で、満開の桜の下でどんちゃん騒ぎは出来ませんが、里山に分け入って一人静かに観る山桜もいいものです。小学校から高校まで通った大阪教育大学附属池田は、桜の名所 五月山の中腹にあります。少し長くなりますが、今でも口について出る校歌と小学校時代の恩師M先生(社会科)が、教えてくださった大意を書いてみます。

1. 摂河の広野 茅渟(ちぬ)の海原
我が学舎の窓に集まり
金剛の山 浪速の港
また目睫(もくしょう)のうちに連なる
2. 皇祖の遺跡 忠士の古蹟
朝夕眺むる我等が誇り
いかで鋭心(とごころ)起こさざるべき
いでや努めて 国家に尽くさん

 

大阪平野の北端、五月山の中腹に位置する校舎の窓に集まって、郷土の地を眺めている。一面の山野は、かつての摂関家の狩場。眼下にきらきらと光る大阪湾は、長髄彦(ながすねひこ)の凶矢に倒れし五瀬命の血糊を洗った茅渟(ちぬ)の海原。見はるかす金剛山は、役行者ゆかりの霊山だ。(この大阪府最高峰は、ダイヤモンドの和名ー金剛石ーをその名に冠しています。金剛石も磨かずばーーなんて唱歌もあったかな。)万葉の「なみはや」から転じた浪速の港。古事記や万葉の時代から変らぬ北摂の自然に想いを馳せつつ、里に目を移すと、父母の待つ暖かい家庭にも繋がっている。悠久の皇統の歴史に思いめぐらす歌詞は続きます。皇祖の遺跡ー世界遺産、百舌鳥古墳群。大和朝廷の黎明期にはるばる海を越えてきた使者を迎える白亜のモニュメント。使者達は国許に伝えたにちがえない。「大海のはてに浮かぶ東夷の島国、侮りがたし」と。1000年の時が流れ、皇統を二分した内乱の時代。摂河の山野で孤軍奮戦する楠木正成、新田義貞、北畠顕家ら忠義の武将達。そんな史跡を朝な夕な眺めることができるの は我らの誇りだ。「鋭心」(とごころ)とは、聞き慣れぬ言葉だが、「しっかりした心」という万葉に記された古語だ。若者よ、自分の考えをしっかり持って、凛として生き国家に尽くしなさい。(今風に言えば、ボーっと生きてんじゃないよ!というところでしょうか。)

トライヤルウイーク(社会体験)で母校の後輩たち(中学2年生)が以前勤めていた病院を訪れたとき、昼休みに一緒に校歌を歌い、上記のような説明をしてあげました。「ずっと歌ってきた校歌の意味を説明してくれたのは、先生が初めてです。」と、まだ幼さの残る女子中学生が瞳を綺羅つかせるのをみると、満更でもない気分でした。短い歌詞の中に、郷土愛と家庭愛、ひいては愛国心を涵養する心までよくぞ織り込んだもの。この歳になっても 昔のひとは、偉かったんだとつくづく思います。

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