院長コラム
闇に浮かぶ美女
2020年08月17日
暑い日が続く中、少しでも涼しげな雰囲気が出ればと思い、クリニックの待合に「葛飾応為の夜桜美人図」を掛けてみました。螳螂の灯りに照らされた女性の肌は白く、着物の紅が優美に宵闇に溶けています。レンブラントなどをご覧になった方は判ると思いますが、陰影で立体感をだす西洋画の世界では、つよい光を描くには深い闇が必要です。19世紀の後半、ヨーロッパでジャポニズム運動がおこり、日本の浮世絵が大ブームになりました。マネもモネもゴッホもゴーギャンもルノワールも、こぞって浮世絵を題材に勉強しました。彼らが関心をもった大きな理由は、浮世絵では陰影をつけなくても立体感が表現できていたからです。(当時、印象派の画家達は小さな補色の点をキャンパスに並べる事で光を表現する方法を知っていましたが、絵の輪郭はかすんでしまいます。)
一方で、幕末の浮世絵師達は西洋絵画から遠近法や陰影といった西洋の表現方法を学びました。この絵の作者である葛飾応為(北斎の娘)は、西洋画の陰影の世界を浮世絵に取り入れています。陰影の中に浮かぶ妖艶な美女は、天才の北斎も脱帽したほど見事な出来栄えとなりました。
光害のなかった江戸の街では、宵闇に蛍が飛び交い、雲のような銀河さえ見せてくれたでしょう。そんな事を想像しながら、絵をぼーっと眺めていると、コロナ禍の憂き世をしばし忘れさせてくれます。
〒666-0014 兵庫県川西市小戸1丁目7-13
- 阪急「川西能勢口」駅
東改札を出て11番出口方向 徒歩1分
休診… 火曜午後、木曜午後、土曜午後、日曜、祝日
受付終了時間は診療終了時刻の15分前となります。
診療は予約優先で行いますので、
できるだけ前日までにご予約ください。
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