2024年06月21日

自宅の小さな庭の隅に、今年も陽花の花が咲きました。外科を開業していた祖父が植えたもので、震災後の立て替えのときに移植してもらった思い出の庭花です。紫陽花は、万葉集にも登場する古くからある花で、原産は日本を含む東アジアです。西洋に渡って「Hydrangea」（ヒドランジア「水の器」）と呼ばれるようになりました。

眼にも鮮やかで鮮烈な紫陽花の青色は、東洋の薔薇とも称されますが、本家の西洋薔薇には青い花はありません＊。青い天然色素のなかった西洋では、青と言えばモザイクや宝飾品に利用されていたトルコ石（ラピスラズリ）が寵愛され、貴重なトルコ石は黄金と同価値で取引されたそうです。

青の色調は、言い尽くせないほどに多彩です。

ジーンズなどでおなじみのインディゴブルーは、インド北部原産の藍であるインドアイ（キアイ）という植物が語源です。和名では洋藍や青藍といい、鮮やかな藍色を指しています。イギリス海軍の軍服にはじまったとされるネービーブルーは、紺色に近い深い青色。秋の空や深い湖に映えるプルシャンブルー（ベロ藍）は、北斎の愛した色です。

今年のゴールデンウイーク、北海道に住む友人のすすめで積丹半島のカムイ岬をたずねました。アイヌの神の名を冠したこの岬からは、300度もの日本海の眺望がみられます。海藻が少なく透明度の高い海は、積丹ブルーと呼ばれる神々しいほどの青さをみせてくれました。

女性は男性より感性が豊かなことが多く、たくさんの色を認識していると言われます。皆さんも、お散歩などで奇麗な花をみつけたら、ご自分の感性で奥深い色の世界を楽しんでみて下さい。

＊本家の西洋薔薇には、青は存在しません。サントリーの研究所が、DNA操作で青い薔薇を作り出したのは今世紀に入ってからの事。

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