院長コラム

上方落語考

2024年05月16日

梅田に新しくオープンしたSkyシアターMBSホールで行われた落語会を聞きにいきました。昼席と夜席、2回に分けて東西の人気落語家8人が演じる噺家八景と名付けられた企画です。噺家八景とは、近江八景という上方落語をもじったもの。江戸時代の俳諧や浮世絵に登場し、明治の鉄道唱歌にも詠われた近江八景。知る人も少なくなった昨今ですが、故桂米朝師匠の落語を子守唄代わりに育った私には、極めてなじみの深い滋賀県の名所です。石山秋月(いしやまのしゅうげつ)=石山寺、勢多(瀬田)夕照(せたのせきしょう)=瀬田の唐橋、粟津晴嵐(あわづのせいらん)=粟津原、矢橋帰帆(やばせのきはん)=矢橋、三井晩鐘(みいのばんしょう)=三井寺(園城寺)、唐崎夜雨(からさきのやう)=唐崎神社、堅田落雁(かたたのらくがん)=浮御堂、比良暮雪(ひらのぼせつ)=比良山系。今も、観光名所になっているので、訪れた事がおありの方も多いでしょう。

上は有名な広重の近江八景の浮世絵。

以下は落語の話です。魯山人(江戸の狂歌の名人)が、31文字で近江八景を全部入れた歌を作ったらタダで駕籠に乗せてやるからと言われて作った歌が下記です。
「乗せたから、先は会わずか、タダの駕籠、比良石山や、馳せらせてみい」
(の(瀬田)(唐津)先は(粟津)(堅田)の駕籠、(比良)(石山)(矢橋)らせて(三井))
見事に 八景がはまっています。これの上手(うわて)で、俳句の17文字にすべて読み込む歌もあるのですが、、、ご興味のある方は調べてみてください。

さて、落語会の方ですが、前座は京大卒のインテリ落語家 笑福亭たまさんの「源平盛衰記」。元々、講談の戦記物がモデルだったのでしょうが、戦後GHQによって戦記物は禁止となり、落語にのみ残っているのです。かつて、東京の林家三平師匠が得意としていたネタで、だじゃれやフィクションを織り交ぜて、源平の戦いを面白おかしく聞かせてくれます。ついで、中入り前に、東京から立川談春師匠が来阪されました。東京では、もっともチケットのとりにくいと言われる真打ちの登場です。人情話の「文七元結」を渾身の力で演じ、鳥肌ものの出来ばえでした。awayの大阪であれだけの芸が披露出来るのですから、談春師匠恐るべしです。その後、月亭八光(はちみつ)さんの「住吉駕篭」につづき、トリは米朝門下の重鎮、桂南光師匠の登場です、長編古典の「らくだ」を、最後まで飽きさせる事なく、最後の野辺送りのシーンまでしんみり演じられました。南光師匠にhomeの大阪の意地を見た気がしました。

左は江戸落語、右は上方落語のイラスト。

落語の始まりは、室町時代末期から安土桃山時代にかけて。落語の元祖と呼ばれる安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)という浄土宗の僧侶が、おもしろおかしく仏道を説き、オチをつけて笑わせていたのが始まりです。その後、江戸時代になると京都、大阪、江戸に語りを生業とする職業的落語家が登場し、寄席という形式が芽生えます。江戸後期の文化文政のころ、江戸には125件もの寄席小屋があったそうです。人情噺や芝居話や怪談話に端を発した江戸落語は、じっくり聞かせて笑いを誘うスタイルで、小道具は扇子と手ぬぐいのみ。同じ大衆芸でも、大道芸から興った上方落語は、扇子、手ぬぐいに加え、見台(けんだい)と膝隠しを使い、張扇(はりおうぎ)と小拍子(こびょうし)で場を盛り上げます。路上で往来の人の足を止めて噺を聞かせていたため、派手に爆笑をとる賑やかなスタイルが特徴です。笑いは、免疫力を高め、コミュニケーション力を豊かにしてくれます。皆さんも、機会があれば、寄席に足を運んでみてはいかがでしょう。

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