2024年01月29日

猪名川沿いの河原を散歩していると、銀色の頭に、鮮やかなオレンジ色のおなか、翼に白い班をもったスズメくらいの可愛い鳥を見かけます。頭部の銀色が高齢の男性の白髪（「尉（ジョウ）」）を連想させ、「キッ、キッ、」「カッ、カッ」と甲高く鳴く声が火打ち石を打つ音に似ているため、「火炊き＝ヒタキ」を合わせてジョウビタキと呼ばれています。人間に対しては警戒心が薄く間近で観察できる野鳥ですが、縄張り意識が強く小木の細い枝に留って、尾っぽをふるわせながらお辞儀するように周囲を見回しています。

母の実家のある西瀬戸地方では、翼にある白い斑点をキモノの紋に見たてて、モンツキドリとよばれています。民話に、愛らしいジョウビタキのお辞儀にちなむものがあります。

昔、スズメとモンツキドリは姉妹でした。母親が重い病気になったとき、スズメはお歯グロを塗っていましたが、すぐやめて駆けつけたので死に目に会うことができました。ところがモンツキドリは、化粧をしたりモンツキを着たりと時間をかけたので、死に目に間に合いませんでした。怒った父親はモンツキドリに「もう、こんりんざいタベモノをやらない」と言いました。だから今でもモンツキドリ（ジョウビタキ）は、おじぎをしているのだといいます。いっぽうスズメの口もとが黒いのは、途中で塗るのをやめたお歯グロのあとだとか。（上のイラストともにサントリー「日本の鳥百科」HPより）

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