院長コラム

蝉の脱皮

2025年04月11日

今朝、雨に濡れた門柱のそばに、青い葉が一枚落ちているのが目にとまりました。葉の上に何かついているので、拾ってみると、欠けのない完全な蝉のぬけがらです。少し濡れていて たった今脱皮したばかりのように見えました。桜の咲く陽気に誘われて、蝉の幼虫が這い出してきたんだな、でも4月半ばにもならないのに気が早いなーーと思いながら、葉っぱとぬけ殻を傷つけないように持って、クリニックに向かいました。せみの幼虫が長い間土の中で過ごすのは氷河時代を生き抜いた知恵なんだとか、北米にいる蝉が13年とか17年(素数年)おきに大発生するのは、繁殖パートナーを見つけるためと他の捕食生物の繁殖周期から逃れるためだーーとか、どこかで読んだトレビアが頭をよぎります。クリニックにくる理科系の学生さんや小さな子供さんに説明してやろうと、ちょっとワクワク気分です。

抜け殻を持って外来にいくと、職員たちは、また先生が変なものを持ってきたと警戒ムードです。私は、自分の考えたことを手短に話し、これが患者さんへの話題になるからと、自信満々です。「これは、脱皮したての蝉の幼虫やな。去年のものなら葉が青いの変だよ。昨日脱皮して葉っぱごと落ちたんじゃないかなーー。」と自慢げに話していると、医療コンセルジュのOさんが言いました。「先生、これは去年脱皮した殻じゃないですか。ずっと常緑の葉にくっついていたのが、昨日の風雨で、落ちたんじゃーー?」Oさんの言う説明の方ががもっともです。私は、返す言葉がありません。科学の世界には、オッカムの剃刀という便利な道具があります。ある事象を説明するのに、よりシンプルな方が正しいという単純な理屈です。「そうだね。まあ、どんなつまらないことにも疑問を持つことが大切だ。昔から、偉い人は、誰も思わなかった疑問に真摯に取り組んで、とんでもない業績を上げのだからねーー」と、負け惜しみです。こんな屁理屈を垂れる町医者の矜持に付き合わされる周りはたまったものではありませんが、いつまでも少年のような好奇心だけは大切にしたいものです。

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