院長コラム
人畜共通伝染病
2023年06月04日
小雨の降る中を駅からクリニックに向かって歩いていると、車道の真ん中に大きなカタツムリが這っているのを見つけました。くるまに敷かれないように、そっと拾い上げて草叢に戻してあげました。ちいさな命を助けたようでちょっと気持ちがよかったのですが、家にはいる前には、庭の水洗で手洗いをするのを忘れませんでした。カタツムリに限らず、野生の動物や昆虫には人間にも感染する寄生虫やウイルスが住んでいて、人畜共通の伝染病を起こすことがあるからです。
ニューヨークの自然史博物館には、世界中の珍しい寄生虫の標本を集めた部屋があります。昔、その部屋を見学した際、そのほとんどの標本に「原産地occupied Japan」とあったことに驚いた記憶があります。つまりは占領下の日本は、寄生虫王国だったのです。そういえば、祖父が使っていた大正時代の内科の教科書は、かなりのページが寄生虫感染に占められていました。
最近は野生動物からの感染は少なくなりましたが、妊娠中にペットからトキソプラズマやオウム病などが感染することがあります。母児に悪影響を与える可能性ががあるので注意が必要です。過剰に神経質になる必要はありませんが、犬猫や鳥を触った後はよく手洗いをしましょう。
人畜共通伝染病といえば、助産師のSさんから面白い話を聞きました。郊外に住むSさんのお母さんが愛犬のラブラドールレトリバーと散歩をしていたとき、愛犬が草叢でカエルを食べてしまったそうです。しばらくして愛犬の具合が悪くなってきたため獣医さんに相談したところ、市内の獣医さんは「草アレルギーでしょう」とのこと。納得がいかないお母さんは、郊外の獣医さんにもラブちゃんを連れて行きました。そこでは「マンソン裂頭条虫」なる聞き慣れない病名を告げられたそうです。条虫とはいわゆる「サナダムシ」で、なかでもマンソン裂頭条虫は最大2mにも達する大型の条虫です。人獣共通感染症で、犬猫だけでなく人にも寄生する可能性が あります。幸いにして、そのラブちゃんは駆虫剤を投与され元気を回復したそうです。
★後日談:保険の利かないペットの薬はたいへん高額で、駆虫剤には1万円かかったそうです。Sさんのお母さん曰く「獣医さん2件も はしごして、マンソン裂頭条虫なんて初耳だわ。それにしても1万円なんて、ほんまに萬損条虫やね。」
〒666-0014 兵庫県川西市小戸1丁目7-13
- 阪急「川西能勢口」駅
東改札を出て11番出口方向 徒歩1分
休診… 火曜午後、木曜午後、土曜午後、日曜、祝日
受付終了時間は診療終了時刻の15分前となります。
診療は予約優先で行いますので、
できるだけ前日までにご予約ください。
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